介護のチームワークを高める目標例は?目標の立て方やコツを解説

介護を必要とする方々をサポートするために、さまざまな介護サービスが存在します。適切なタイミングで十分なサポートを安心して受けてもらうためにも、介護の仕事にはチームワークが重要です。 チームワークを高めるためには、目標設定がカギを握ります。 この記事では、介護におけるチームワークの重要性をはじめ、チームワークを高めるための目標の立て方やコツをご紹介します。


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介護におけるチームワークとは

チームワークは「同じ組織に所属しているメンバーが共通の目標を達成するために、互いに協力・連携する共同作業」を指します。

介護業界以外でもチームワークの重要性が提唱されており、さまざまな組織で目標を掲げることが一般的です。よくあるのは「売上〇〇円達成」や「顧客〇〇人獲得」など、定量的な目標が掲げられます。

しかし、介護におけるチーム目標は、一般的な業界とは異なり、「介護を依頼している利用者・入居者の目標」がそのままチームの目標になるのです。

介護の現場では、ケアマネージャーを中心に利用者・入居者やその家族から希望をヒアリングし、そこで収集した情報をもとに目標が設定されます。

各職員がそれぞれの専門性を活かして協力しながら、設定した目標を達成できるようにサービスを提供します。

利用者・入居者が安心してサービスを受けられ、理想とする暮らしを送れるようにするには、チームワークを磨く必要があります。

介護におけるチームワークの重要性

ここでは、介護におけるチームワークの重要性を紹介します。

利用者・入居者が快適にサービスを受けることにつながる

チームケアは、複数の専門分野を持つ職員がチームを形成し、連携を取り合いながら利用者をサポートします。チームは、介護職員だけではなく医師や看護師、理学療法士など、幅広い職種で構成されています。

例えば、利用者・入居者の常用薬の管理や持病による緊急時の措置など、介護職員だけでは対応が遅れてしまうリスクがあります。そこで医療従事者がチームに加わっていると、適切かつ迅速に処置することが可能です。

また、要介護者が抱える問題に対して、各専門の知識や技術を連携することで一貫性のある介護サービスが提供できるため、利用者・入居者だけではなく、その家族も「複数の専門分野を持つチームに支援してもらえる」、という安心感につながります。

従業員がスムーズに働くことにつながる

介護の業務は多岐に渡ります。すべての業務をひとりでこなそうとすると、知識や技術が不足していた際、心身ともにプレッシャーがかかるでしょう。

一方、チームで協力すれば、それぞれの専門分野から多角的な視点で利用者・入居者の相談事に寄り添って対応できます。利用者・入居者の悩みに応じて、専門知識や技術を有する者が対応することで、介護職員の負担軽減に貢献するだけでなく、チーム全体の効率化にもつながるのです。

そのためには、チームを構成する各メンバーが各々の専門分野を理解することが大切です。お互いがどんな役割を担っているのかを明確にすることで、突発的なトラブルにも柔軟に連携できます。

介護でチームワークを高めるための目標の立て方

ここからは、具体的な目標の立て方を見ていきましょう。

短期目標と長期目標に分けて考える

大きな目標を掲げることは素晴らしいことですが、漠然と目標を立てていても、それぞれが何をすれば良いのかがわからなくなり、達成が難しくなってしまいます。

まずは、長期目標を設定し、その目標を達成するための短期目標を設定しましょう。目標の期間はさまざまな考え方がありますが、利用者・入居者の目標に沿って長期目標なら1ヶ月~半年、短期目標は1日~1週間ほどが目安です。

短期目標は、長期目標と比較してより具体的で達成しやすい目標を設定しましょう。

チームメンバーが自分で考えるようにする

上司が一方的に考えた目標をチームに共有するのではなく、チームメンバー全員が意見を出し合いながら主体的に考えて目標を決定しましょう。

誰かに決められた目標だと、メンバーは目標の意味を理解しているつもりでも、どこか他人事のようになってしまうおそれがあります。

自分たちで考えた目標は責任感を持ちやすくなり、具体的な行動に落とし込みやすくなるでしょう。

リーダーがメンバー全員に意見を求め、それぞれが発言しやすい空気を作ることでより良いチーム目標が設定できます。

介護でチームワークを高めるための目標例

チームワークを高めるための目標の立て方で、長期目標と短期目標を立てることが重要であることを紹介しました。

例えば、長期目標に「個別リハビリの実施率の向上を目指す」と設定しているなら、短期目標は、より具体的に「利用者の個別リハビリを100%実施させる」となります。

このように具体的な目標を立てると、チームメンバーそれぞれが意識して、自分で判断して動けるのです。

定期的な目標達成度チェックを行う

目標を設定したあとに大切なのは、定期的な達成度チェックです。例えば、短期目標が期間内に達成できていないと確認できた場合は、その目標を短期目標に設定すること自体が適切ではないのかもしれません。

定期的に目標を見直すと、現状に最適な目標にブラッシュアップできます。達成率が低い場合は、原因をチーム全体で考え、難易度をひとつ下げてみるなど対策していきましょう。

介護でチームワークを高めるコツ

介護でチームワークが大切だと理解していても、なかなかチームワークが図れないという悩みを持つ人も多いでしょう。ここからは、チームワークを高めるコツを紹介します。

リーダーはメンバーが気持ち良く働けるように気を配る

介護でチームワークを高めるには、リーダーの存在が必要不可欠です。リーダーは、ほかの人より必ずしも経験年数が多かったり、スキルがずば抜けて高かったりする必要はありません。

リーダーは、チームメンバー全員の士気を上げ、働きやすくするための気配りができる人が適任です。

リーダーの重要な役割に、メンバーのフォローが挙げられます。例えば、利用者・入居者の家族からのクレームに対応したスタッフに「大変でしたね。ありがとうございます。今困っていることはありませんか?」と声をかければ、スタッフは悩みや困りごとを共有しやすくなります。

また、チームメンバーそれぞれの仕事を認め、褒めることも大切な業務といえるでしょう。メンバーの話に迅速に耳を傾け、必要なときにはしっかりと叱ってフォローすれば、チームはより良い方向へ動きます。

毎日短時間のミーティングを行う

チームの目標を達成するために、メンバーとの連携は必要不可欠です。忙しい業務の中でも、毎日10分程度のミーティングを行い、今後の予定や課題、進捗状況を報告し合うことで、メンバーそれぞれが何をするべきかが明確になります。

また、毎日スタッフ全員が顔を見ながら話す機会を作ることで、課題をその場で共有できます。さらにその課題に対しても、上司や経験豊富なスタッフからアドバイスをもらえることでスムーズな解決に導けます。

日頃からチームでのコミュニケーションを欠かさない

チームワークを高めるには、自然な流れでメンバーと意見を出し合い、議論することが大切です。とはいえ、会話を交える環境がなければ、意見を出すことは難しいでしょう。まずはリーダーから積極的にメンバーに話しかけ、普段思っていることを聞き出します。

何か困っていれば「どうしたの?」「なにかあった?」と声をかけて、サポートに入ったり、一緒に課題解決に動いたりしましょう。また、発言を通して出てきた課題は、お互いの意見を交え、解決に向かうことで結束力の強化にもつながります。

意見がぶつかったときは会話にクッションを挟む

利用者・入居者の目標を達成するには、医療や看護をはじめとする多職種との連携は必要不可欠です。

専門性や立場が異なる職種の人と話していると、利用者・入居者への対応方法で衝突してしまうことも少なくありません。

もし意見がぶつかったときは、会話にクッション言葉を挟むことを意識して対立を生まないようにしましょう。

・依頼するとき:「お手数おかけしますが~」「恐れ入りますが~」
・断るとき:「申し訳ありませんが~」「お気持ちはありがたいのですが~」

相手の立場や主張を尊重しながら冷静に会話すれば、お互いの落としどころが見つかることもあります。

まとめ

利用者・入居者により良いサービスを提供するためにはチームワークが欠かせません。利用者・入居者やその家族の意見を反映させたチーム目標を掲げ、コミュニケーションをしっかり取りながら介護サービスの提供体制を整えましょう。