介護コンサルタントとは?料金体系・サービス内容・選び方のコツを解説

今後、日本の後期高齢者人口の割合はますます増加すると推測されており、それに伴い介護市場は拡大していくと考えられます。そのような背景で、介護事業所・施設は経営手腕が問われることになるでしょう。そこで介護業界の経営コンサルタントの必要性が高まっています。 介護コンサルタントは、介護事業所・施設の経営を客観的な視点から分析して経営アドバイスをしてくれます。今回は介護コンサルタントの概要や料金相場などをご紹介していきます。


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介護コンサルタントとは

介護コンサルタントとは、介護事業所・施設の経営課題を解決に導くプロフェッショナルです。介護業界の専門知識やトレンド、法律や規制などの動向にも精通しており、介護事業者が経営戦略を策定し、継続的な運営を行えるように支援します。

また、介護コンサルタントは、介護事業所・施設を開業する際の申請手続きのサポートや、実地指導の支援などにも長けています。介護コンサルティングを依頼することで、介護事業所・施設の開業前から開業後まで、長期に渡ってアドバイスやサポートが受けられるのです。

介護コンサルタントの料金相場

介護コンサルタントの料金は、主に顧問型・スポット相談型・パッケージ型の3つのタイプに分類されます。ここでは、それぞれの概要と料金相場をご紹介します。ただし、料金は地域、経験、専門性によって異なる場合がありますので、参考程度にご検討ください。

顧問型

特定の介護コンサルタントと介護事業者が長期的に顧問契約を結ぶコンサルティングサービスです。固定料金で月に数回、介護事業所・施設の経営についてのアドバイスや支援が受けられます。

自社の状況をよく把握していて、都度きめ細やかに対応してくれる、右腕的な存在がほしいときにおすすめです。顧問型のコンサルティングサービスの料金相場は、月に1~2回のコンサルで月額5万~30万円程度です。

スポット相談型

経営問題・課題の解決を目的に、一時期的に契約を結ぶコンサルティングサービスです。

例えば、経営戦略の策定、業務プロセスの改善、スタッフトレーニングなどの特定の領域におけるコンサルティングです。スポット相談型のコンサルティングサービスの料金相場は、月額10万〜30万円程度です。

パッケージ型

介護事業に関する困り事のアドバイスや支援を、一括で請け負ってくれるコンサルティングサービスです。

介護事業に新規参入する際に、介護事業所・施設の物件選定や経営計画・収支計画の策定、行政への申請手続きなどをまとめて任せたいといったケースに向いています。

料金相場は数ヶ月~半年間で30万~150万円程度です。

コンサルタントに任せる業務の幅が広いため、他の料金パターンと比べると高く感じるものの、介護のいかなる悩みにも対応してくれます。

介護コンサルタントに依頼できるサービス内容

介護事業所・施設の経営問題・課題について相談できる介護コンサルタントですが、具体的にはどのようなサービスを 受けられるのでしょうか。ここでは、介護コンサルタントに依頼できるサービス内容を紹介します。

新規開業支援

介護コンサルタントに依頼できるサービスのひとつが、介護事業所・施設の新規開業支援です。介護事業者が将来的な展望を持ち、競争力を維持・向上させるために長期的な経営戦略を策定する手助けをします。

開業地の選定や建設計画の立案、収支計画の策定、都道府県や市区町村から介護事業者として指定を受けるための「指定申請」などの行政手続きも担ってくれるでしょう。

また、効果的な広告やプロモーションの提案、顧客満足度の向上などのマーケティング支援も行います。

実地指導対策

介護コンサルタントの多くは、実地指導対策にも対応しています。実地指導とは、都道府県や区市町村の行政が介護現場に訪れて、直接的な指導を行うことです。介護事業所・施設が正常に運営しているか、担当者が確認します。

実地指導で問題ありと判断されると、介護事業者の指定の効力停止、指定取消などの処分が下される可能性もあります。介護事業所・施設の今後を左右するため、実地指導の必要書類を漏れなく準備し、万全の態勢で臨まなくてはなりません。

介護コンサルタントに相談すれば、実地指導の必要書類の準備や、「介護保険施設等運営指導マニュアル」に準拠した対策などを考えてもらえます。

人材育成支援

介護コンサルタントは、介護事業所・施設に合った介護人材の採用・育成のサポートも行います。人材不足は介護業界全体の問題であり、何の戦略もなく求人広告を出しただけでは、なかなか人が集まりません。

そこで、介護コンサルタントが介護人材確保のための採用計画の策定や、面接などのサポートを行うのです。

また、介護職員の離職率を下げるための施策を提案したり、実際に現場に入って介護職員の教育を行ったりすることもあります。

自社に合う介護コンサルタントを選ぶコツ

介護コンサルタントは、それぞれサービス内容や料金体系が異なるので、自社の問題・課題を解決するには、自社に合う介護コンサルタントを選ぶ必要があります。ここでは、自社に合う介護コンサルタントを選ぶコツについて見ていきましょう。

介護業界に精通するコンサルタントを選ぶ

介護事業では、介護保険制度や介護報酬の計算といった、ほかの事業にはない専門知識が必要とされる場面が多々あります。

そのため、介護コンサルタントを選ぶときには、介護業界に関する知識が豊富であるかどうかを確認することが重要です。これまでに介護事業所・施設が抱える問題・課題を解決し、経営を改善した実績がどれくらいあるかもチェックしてみましょう。

解決したい課題に合ったコンサルタントを選ぶ

介護コンサルタントは、それぞれ得意とするサービスが異なります。また、介護事業所・施設側も、通所介護や訪問介護、訪問看護事業など事業形態が違うため、それぞれ経営問題・課題が異なるでしょう。

そのため、自社の解決したい問題・課題に合った専門性や経験をもつコンサルタントを選ぶことも大切です。

一緒に仕事をしやすいコンサルタントを選ぶ

介護コンサルタントを探すときに、ついつい知名度や料金に注目しがちですが、担当者との相性が良いかどうかにも注目しましょう。

介護コンサルタントには、自社の経営について深いところまで話す必要があります。担当者とあまり相性が良くないと深い話がしづらいため、問題・課題が解決しにくくなるかもしれません。

介護コンサルタントとしての実績や知識はもちろん、人柄や話し方なども見て、信頼できる人物か、きちんとコミュニケーションが取れる人物かを判断しましょう。

どの介護コンサルタント会社を選ぶかで迷ったときは、各社の担当者に同じ内容の質問をしてみるのがおすすめです。質問に対しどのように回答するかで、自社との相性を判断できるでしょう。

まとめ

介護事業所・施設を開業するとき、また開業してからも、何かと問題・課題は出てくるものです。

なかなか自社だけで解決できない場合は、介護事業の経営問題を専門に扱う介護コンサルタントのサポートを受ければ解決できるかもしれません。

介護コンサルタントはそれぞれ料金体系や得意とする分野が異なるほか、自社との相性も大切なので、複数の介護コンサルタントを比較してみて相談先を決めましょう。