高齢者向け!簡単なレクリエーション例
レクリエーションは、楽しみを提供するだけではなく、高齢者が抱えやすい課題を改善する手段としても利用されます。身体機能や認知機能の維持といった目的に応じて、頭や身体を使ったり、音楽を用いたりと、レクリエーションの内容もさまざまです。
まずは、代表的なレクリエーションを紹介します。
身体を動かすレクリエーション
全身の筋力や体力の維持などに効果が期待できるため、多くのグループホームで実施されているプログラムです。
ラジオ体操
適度な運動は、食欲の向上や睡眠の質の改善、ストレス解消などに繋がります。グループホームでは、ラジオ体操を取り入れるケースが多いです。馴染みのある動きで自然と身体を動かせる人も多く、適度な運動になります。
ボウリングやバレーなどのスポーツ
遊び心を取り入れたスポーツなら、楽しみながら無意識のうちに全身運動が促せるため、運動が苦手な方でも参加しやすいです。
ボウリングや風船を使ったバレーであれば、車椅子の方でも比較的参加しやすいでしょう。
園芸
土いじりや植物の世話をとおして身体の動きを促せます。屋外で日光浴もできるため、生活リズム改善の効果も期待できます。
脳を刺激するレクリエーション
認知症の進行予防や認知機能の維持を目指すプログラムは重要です。楽しみながら思考を繰り返し、脳に刺激を与えられるよう工夫しましょう。
計算や漢字問題の脳トレ
計算や漢字問題などを実施して脳の活性化を促します。それぞれの能力に合わせた難易度を準備することもできます。脳トレはあくまで脳の活性化が目的なので楽しんで取り組めるような配慮が大切です。
クイズやボードゲーム
参加者のコミュニケーションを促しながら楽しめるため、脳に良い刺激となるでしょう。ただし、同じ内容が繰り返されると、刺激が少なくなるため、飽きないような工夫も大切です。
音楽や歌のレクリエーション
体操やクイズが苦手な人でも、歌であれば自然と口ずさむことがあります。音楽を取り入れたレクリエーションは人気のあるプログラムのひとつです。
合唱
歌は心肺機能や口腔機能の維持・向上が期待でき、ストレス発散やリフレッシュにもつながります。利用者・入居者の世代に合わせた曲を合唱すると、懐かしみながらコミュニケーションを取るきっかけにもなるでしょう。
音に合わせて、鈴やカスタネットなど操作しやすい楽器を演奏すると、協調運動を促すことができ、脳の活性化にもつながります。
ダンス
曲に合わせた体操やダンスを加えるなど、運動量や難易度を自由に設定できる点も、音楽を用いたレクリエーションのメリットでしょう。
手先を動かすレクリエーション
レクリエーションとしては、お手玉や塗り絵、工作などが代表的で、創作活動を用いると作品として残ることもあり達成感が得られやすいでしょう。また、能力や興味に応じて編み物や裁縫などを取り入れると、趣味の獲得にもつながります。
自室 でも行えるレクリエーション
スタッフが提供できるレクリエーションは、1日の中でも時間が限られています。
そのため、自身で活動量を増やすことも、心身機能の維持・向上効果を高めるために重要です。1人でも取り組みやすいレクリエーションとしては、日記や身体への負担が少ない口腔体操(パタカラ体操)などがあります。
特に日記は、指先を動かしながら文字や出来事を思い出す機会になり、認知機能の維持に効果的です。しかし、状態によってはストレスを感じる場合もあるため、すべての人に適している訳ではありません。
ほかにも、手先を動かすレクリエーションの延長で、折り紙や絵画などが好きな場合は、自ら取り組みやすいよう道具や環境を整備しておくことも有効です。利用者・入居者に促しましょう。
グループホームでレクリエーションを実施する際のポイント
グループホームで効果的なプログラムを実施するためには、レクリエーションをするスタッフは押さえておきたいポイントがあります。
利用者・入居者に合ったプログラムを選ぶ
参加率を高めるためには、利用者・入居者目線で興味をもてる内容にすることが大切です。
提供する側が良いプログラムと思っても、利用者・入居者が嫌いなことや苦手な内容では参加率が下がり、盛り上がりにも欠けるでしょう。
また、レクリエーションが簡単すぎると面白みに欠けたり、難しすぎると自信を失ったりするかもしれません。
内容を適正化するためには、利用者・入居者の身体機能や認知機能を正しく把握しておく必要があります。
グループホームは、その特性上少人数で個々の状態や好みを把握しやすく、最適なプログラムを実施しやすい点が強みです。
利用者・入居者に合ったプログラムを提供して、積極的な参加を促しましょう。
堅苦しくならないようにする
レクリエーションを盛り上げるためには、楽しく穏やかな雰囲気にすることが重要です。
しかし、プログラムのルール説明や手順などを解説する際、理解してもらおうと頑張っていると堅苦しい印象を与える場合があります。
そうなると、失敗が許されない雰囲気で緊張感が高まったり、退屈を感じさせたりするかもしれません。
雰囲気を和らげるためには、スタッフも一緒に楽しむ姿勢が大切です。
説明時には、わざとスタッフが失敗して見せるなど、参加者の緊張感を緩和するような配慮をしましょう。
積極的に声かけする
レクリエーションを直接盛り上げるには、やはりスタッフの声かけが欠かせません。
一緒に楽しみながらも、元気に応援したり合いの手を入れたりして、雰囲気が明るくなるように努めましょう。
参加者が失敗したときなどにも、ポジティブな声かけでフォローすることも大切です。
参加してくれたことに対する感謝、行動や結果を賞賛する姿勢など、利用者・入居者のモチベーションを高めるような声かけを心がけましょう。
グループホームでレクリエーションを実施する際の注意点
グループホームのレクリエーションでは、利用者・入居者を尊重する姿勢や安全性の確保が重要です。
トラブルを防いでスムーズにプログラムを実施するために、注意すべき点を解説します。
参加を強要しない
利用者・入居者に参加を促すことは大切ですが、無理強いしてはいけません。
参加を拒否する場合、プログラム内容が苦手であることが考えられ、無理に行わせると失敗して自信を失うリスクがあります。
さらに無理強いはストレスの原因となり、認知症状を強める危険性も高いです。また、拒否反応は不調のサインという場合もあります。
拒否があった際は、強要せずに本人の意思を尊重し、不参加の理由と対策を考えることが重要です。
常に安全や体調変化に気を配る
レクリエーションの最中は、大きな動きがあったり道具を使用したりするため、転倒や怪我などの事故が発生するリスクが高まります。
常に安全性を確保するため、危険予測や見守りを徹底しましょう。
また、体調が変化する可能性もあることから、状態の確認はこまめに行ってください。
自尊心を傷つけない
プログラムの内容が簡単すぎたり、目的意識が低かったりすると、参加者が子ども扱いをされていると感じる可能性があります。
スタッフ側は、レクリエーションの重要性を把握しておくことが大切で、参加者に適したプログラムを提供しなければなりません。
自尊心を傷つけないことは重要ですが、ルールを厳しくしすぎると楽しみにくい内容になります。
適度なゆとりとしっかりした目的意識をもって、利用者・入居者を尊重しながらレクリエーションを提供しましょう。
まとめ
グループホームのレクリエーションには、身体機能や認知機能の維持・向上などを目的に、さまざまなプログラムが考えられます。
利用者・入居者の状態に適したレクリエーションを実施することで、より高い効果が期待できますが、無理強いは禁物です。
利用者・入居者の意思を尊重しつつ、上手に盛り上げてレクリエーションを楽しめる雰囲気を作りましょう。