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デイサービスが面白い企画を導入すべき理由とは
デイサービスは、高齢化が進む日本を支える存在としても重要です。近年は介護事業の参入者も増えて競争が激化しています。地域によっては、デイサービスが増加して飽和状態となっていることもあるでしょう。
他の事業所・施設との差別化を図り、利用者のニーズに合わせつつ、生活機能の向上につながるような取り組みをしなければなりません。
一部のデイサービスでは、すでにニーズに合わせた取り組みが行われており、注目を集めるような面白い企画が導入されています。事業所・施設の特色や強みが今まで以上に重視されます。
事例から学ぼう!デイサービスの面白い取り組み6選
デイサービスは、国の規定に基づいてサービスが行われています。
そのため、利用者の生活機能の向上につながる取り組みをする必要があり、面白いからといってどのような企画でも良いわけではありません。
この項目では、実際に取り組みが認められている事例を紹介します。
1.身体機能の向上につながる!機能訓練
デイサービスは、自立支援や身体機能の維持、向上を目指す機能訓練の提供が求められています。
機能訓練を担当する機能訓練指導員として、看護師や柔道整復師などを配置することも義務付けられています。
しかし、食事や入浴の提供も行うデイサービスでは、機能訓練やリハビリに注力できる事業所・施設は少ないです。
リハビリ専門職であるPT(理学療法士)やOT(作業療法士)も機能訓練指導員になれますが、実際にデイサービスで配置されている事業所・施設は多くありません。
そこで、機能訓練やリハビリを重視して差別化を図るため、PT、OTを配置して専門的なリハビリの実施や自立支援の提供を行っている事業所・施設もあります。
専門職の配置が難しい場合も、ペダル漕ぎやバランスディスク、セラバンド体操などの道具を充実させて楽しく体操を促すなど、工夫によって筋力維持を目指すことも可能です。
2.生きがいをつくる!就労・社会参加
一般的に、介護はサービスを「受ける」ものという認識が当たり前でしょう。
しかし近年は、受け身ではなく利用者が社会参加できるような取り組みが進められています。
労働基準法における労働者性がないことや、事業所・施設の介護職員の見守りがあることを条件に、有償ボランティアとして社会参加を促す取り組みが代表例です。
活動内容は、お箸の封入作業や駄菓子販売、掃除や草取りなどさまざまです。得られる収入はすべて利用者に還元されます。
デイサービス周辺との連携も図れることから、地域に根ざした事業所運営を目指している事業所・施設にはおすすめです。
社会参加により、収入だけではなく生きがいや自尊心の向上など多くの効果が期待できる点も注目されています。
3.好きなものを選べる!個別レクリエーションプログラム
デイサービスで提供されるレクリエーションは、楽しみだけではなくリハビリの一環としても重要です。
一般的には、プログラムの内容は事業所・施設側が決めていることが多く、集団で取り組める内容が中心であるところも少なくありません。
その中で、近年は自由度を高めてプログラムを自身で選べるデイサービスが注目されるようになりました。
陶芸や囲碁、手芸、絵画など複数のプログラムから参加するものを選んだり、個別にスケジュールを組んだりと、いつ何をするか自分で決めて実施するスタイルが増えています。
主体性を重視することで、利用者の意欲向上にもつながります。ユニークな取り組みを通して心身機能の向上にも期待できます。
4.夜間やお泊りのデイサービス
最近のデイサービスには、夕方からサービスを開始して、夜自宅に帰るというスタイルが登場しています。
これは、「昼間は自宅でゆっくりしたい」「夜入浴して眠りたい」など、利用者のニーズに応えるために考えられた取り組みです。
これまでのデイサービスは、基本的に日中のみの営業が多くありましたが、サービス提供の時間帯を変えることでも差別化になります。
また、日中デイサービスを利用してそのまま泊まれる「お泊まりデイサービス」も増えてきました。同居の家族が旅行などで出かける際にも安心ということで注目されています。
こちらは介護保険サービスではなく、自費でのサービスとして提供されます。
ただし、自費サービスであっても保険サービスとの組み合わせにより提供されるサービスで、厚生労働省により宿泊付きデイサービスのガイドラインが示されているため、最低限のガイドラインを満たした運営が求められています。
介護者の休憩であるレスパイトケアとしても利用価値が高く、家族目線のサービスも提供したいという事業所・施設が実施しているサービスです。
5.スポーツトレーナーによるマイクロジム
利用者の身体機能の向上を重視して、スポーツトレーナーによる本格的なパーソナルトレーニングを実施するデイサービスも登場しました。
トレーナーが個人に合わせたトレーニングメニューを考えることで、安全に効率的な機能訓練を実施でき、自立支援や介護度の重度化防止に効果的です。
ほかにも、歌やダンス、表現などに特化したトレーナーを導入することで、エンタメ性を高めたプログラムを実施している事業所・施設もあります。
これによって、介護予防にも重要な口腔機能や感情表現の向上を目指し、健康寿命の延長が期待できるでしょう。
活動量も多く、比較的介護度が低い利用者が中心のデイサービスにおすすめの取り組みです。
6.リハビリ意欲アップ?事業所・施設内通貨の導入
リハビリやレクリエーションに参加したり入賞したりすることで、事業所・施設内で使えるオリジナルの通貨をゲットできるというユニークな取り組みもあります。
この通貨は、主に事業所・施設内の買い物イベント時などでお菓子や雑貨と交換でき、お金を数えたり支払ったりする行動は、手の機能訓練や頭の体操としても効果的です。
普段のレクリエーションや、リハビリなどへの参加意欲向上にも期待できます。
デイサービスではIT技術を取り入れたリハビリも注目度が高い!
最近のデイサービスでは、IT技術を取り入れたリハビリなど面白い取り組みも進められています。
エンタメ感覚で楽しい!VRリハビリ
VR(バーチャル・リアリティー)を利用した最新のリハビリです。
VRゴーグルを着用し、ゴーグル内に映し出される360度動画を見ながら運動できます。
ペダル漕ぎと連動させて、各地の観光都市や自然の景色などを散歩するように楽しめるため、単調な運動が苦手な方でもモチベーションを高められるでしょう。
AIで個々に最適なメニューを提案する!ICTリハ
クラウド上のビッグデータを活用して、個々に最適なリハビリのメニューを迅速に提案できるシステムです。
利用者の個人データと、これまでの運動療法のデータを照合させることで、運動療法やトレーニングする割合など最適なメニューが見つかります。
属人化せず、科学的視点から適切な判断が行えるため、最新技術を取り入れて効率性を高めたい事業所・施設にはおすすめです。
デイサービスが新たな取り組みを企画するときの注意点
近年は、さまざまな面白い取り組みが展開されているデイサービスですが、新たに企画する際は利用者に理解してもらえるよう注意が必要です。
分かりやすく説明する
新たな取り組みは、利用者にとっても分からないことが多く、不安を与える可能性があります。
介護職員はそのことに十分配慮して、企画の内容や参加方法などを分かりやすく説明し、取り組みの意味や楽しさをしっかりと伝えなければなりません。
説明する際は、耳の聞こえにくい方にも伝わる声の大きさで、ゆっくりと話すことが大切です。
一度で理解が得られない場合も、落ち着いた声のトーンで分かりやすい言葉を選びながら説明しましょう。
無理なく参加できるようにする
利用者は、個人個人で状態や好みが異なりますので、全員が同じように参加できるわけではありません。
体操などでは、動けるリズムやスピードに違いがありますので、無理なく参加できるように配慮が必要です。
また、体調や気分によっては適宜休憩が必要な人もいますので、途中で終了しても問題ないことを伝えておきましょう。
まとめ
近年はデイサービスの数が増え、飽和状態のエリアも出てきているため、存続のために面白い取り組みを考える事業所・施設が多くなりました。
機能訓練を強化したり楽しみの活動を重視したり、事業所・施設によってさまざまな工夫が行われています。
新しい取り組みを企画する際は、どのような事業所・施設にしたいか、現在の強みや特徴などについて見直すことも大切です。