身元保証サービスにかかる料金は?トラブルの事例やサービス選びのポイント

身元保証サービスは、身寄りのない方などの老後をサポートするサービスです。介護施設では、入所希望者から身元保証人がいない場合の対応についての問い合わせを受け、身元保証サービスの案内をすることもあるでしょう。 身元保証サービスを紹介する上で知っておきたいことのひとつが料金の目安です。今回は、身元保証サービスの料金や信頼できるサービスを選ぶポイントについて紹介します。


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身元保証サービスの料金

身元保証サービスでは、下記の3つについてサポートしてもらえます。

・身元保証
・死後事務
・日常生活支援

それぞれのサービスの内容や料金の目安について紹介します。

身元保証の場合

病院入院時や介護施設入居時の際に、業者が身元保証人となるサービスです。料金の目安は50~150万円程度です。

しかし、総額200~300万円を要する業者も多く存在します。弁護士や司法書士が母体でサービスを提供しているのではなく、一部を弁護士などの専門家に依頼・外注しているためです。外注分の費用が上乗せされることで、費用が高額になります。

死後事務の場合

死後事務は、亡くなった後に関するサービスです。葬儀の手配や納骨、行政手続きの代行、遺品整理などを第三者に委任できます。業者によっては、判断能力を有する前後のサービスを提供している場合もあります。料金の目安は30~50万円程度です。

日常生活支援の場合

高齢者の日常生活を支援するサービスです。定期的な訪問による安否確認のほか、財産管理や健康相談、付き添いなどのサービスを利用できます。付き添いは、買い物や病院受診、役所での手続きのサポートなどです。

緊急駆け付けサービスを提供している業者もあり、万が一の際の対策になります。料金は、1回につき3,000~5,000円程度が目安です。

【事例】身元保証サービスにおける契約トラブル

身元保証サービスが広がりを見せるなか、契約に関するトラブルも見られるようになりました。消費生活センターにも、身元保証サービスに関する相談が寄せられています。実際にどのような相談があるのか、事例を4つ紹介します。

事例1|サービスの追加により高額な契約になった

離れて住む家族を日常的にサポートすることが難しいため、身元保証サービスを利用することになった事例です。

契約者は、ケアマネジャーから、1時間3,000円で付き添いサービスを利用できると聞き、日常生活支援を行う業者に問い合わせました。その後、契約について、入会金と専門家への依頼料の説明を受けます。

契約完了後、別途身元保証サービスを付けないと24時間のサポートができないと連絡があり、契約者は追加で契約を行いました。結果として、入会金と諸費用で、当初受けた説明の倍以上の料金になってしまいました。

出典:独立行政法人国民生活センター「身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意

事例2|預託金に関しての説明がなかった

身元保証サービスの契約後に預託金を求められた事例です。

契約者は、費用の支払いを行ったものの、別で高額な預託金の支払いを求められました。契約内容が不明瞭なところに高額な預託金の支払いの催促を受け、さらに預託金の詳細についての説明もなく困惑したというトラブル内容です。

出典:独立行政法人国民生活センター「身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意

事例3|契約するつもりのなかったサービスが含まれていた

老人ホームの入居にあたり、身元保証サービスが必要と勧められた事例です。

契約者は、入居予定の老人ホームで、身元保証サービス事業者から契約についての説明を受けました。しかし、説明について理解できないまま契約を締結してしまい100万円の支払いを行います。

後日、入居にあたり必要だった身元保証以外に、死後事務や日常生活支援など、契約者にとって必要のないサービスも含まれていたことがわかりました。

出典:独立行政法人国民生活センター「身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意

事例4|解約時に返金額の説明がないまま清算された

老人ホームから高齢者住宅への転居にあたり契約した身元保証サービスを解約した際のケースです。

契約者は、契約金として140万円の支払いを行っていました。しかし、契約時に説明を受けていた定期的な安否確認の実施や必要な書類の作成が行われず、事業者に対して解約を申し入れます。

解約は行われましたが、契約金のうち50万円の返金があったのみで、契約者は返金額についての説明を一切受けられませんでした。

出典:独立行政法人国民生活センター「身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意

信頼できる身元保証サービスを選ぶ際のポイント

身元保証サービスについては、事業者との間で契約に関するトラブルを抱える契約者もいることを紹介しました。それでは、信頼できる身元保証サービスを見つけるには、どのような点に注意すると良いのでしょうか。

トラブルに発展しにくい身元保証サービスを選ぶポイントを6つ紹介します。

運営母体は弁護士・司法書士であるか

まず、身元保証サービスの運営母体が弁護士・司法書士で成り立っているのか、確認することが重要です。

身元保証サービスを提供するにあたっては、相続人の把握や遺品整理、法的処理能力が求められます。

運営母体が弁護士でない場合、弁護士に外部委託することになり、余分な手数料がかかるおそれがあります。

弁護士・司法書士などの士業を母体とする事業者であれば、外部委託の手数料がかからないため、シンプルな料金体系でサービスを受けることが可能です。

契約内容の説明プロセスが明確であるか

判断能力の低下が懸念される高齢者に対し、身元保証サービスを提供する事業者には、民法や消費者契約法にしたがって、高齢者個々人ごとに丁寧に説明することが求められます。身元保証サービスを選定する際は、説明責任が適切に果たされているか確認しましょう。

また、口頭での説明では後々トラブルに発展する可能性もあります。書面による契約が行われているか、重要事項説明書による説明が行われているかもポイントです。

費用の内訳は明確であるか

身元保証サービスについては、事業者によって料金設定も項目も異なります。主な費用項目は、下記の通りです。

・基本契約料
・公正証書費用
・身元保証料
・預託金
など

上記のほか、入会金が発生したり、追加するサービスによって月々の料金が発生したりすることがあります。信頼性の高い業者を選定するためにも、事業者で費用の内訳が明示されているか、それぞれの費用項目についてサービス内容の詳細が記載されているか確認しましょう。

預託金は適切に管理されているか

身元保証サービス事業者は、契約者との死後事務委任契約に基づき、預託金を受けられます。預託金は、死後事務に要した費用に使用される仕組みです。

総務省の調査によると、預託金ありの事業者は77%で、およそ8割の事業者が利用者から預託金を受ける契約を結んでいることがわかります。

出典:総務省「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査 結果報告書

しかし、預託金の管理について、直接規制する法律や制度は設けられていません。

過去には預託金を区分して管理せず、運転資金に流用した事業者が問題となりました。身元保証サービスを選択する際は、預託金の管理について下記の確認をしておきましょう。

・預託金と運転資金口座が別で管理されているか
・出入金の記録を保存、また管理をしているか
・利用者に定期的な報告が行われているか

解約時の返金について規定があるか

利用者の利益の保護の観点より、契約解除の際に、利用者があらかじめ支払ったサービス費用の未履行部分は返還されるべきと考えられています。

総務省の調査によると、死後事務に関しては、預託金を受け取っている事業者のすべてで、手数料以外の費用は全額返還されていることがわかりました。

一方、入会金や契約金のある事業者については取り扱いが異なります。一部を返金する事業者だけでなく、返金がない事業者もありました。

出典:総務省「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査 結果報告書

返金については、解約時にトラブルになりやすい部分です。契約書で解約時の返金についての記載があるか確認しておきましょう。

遺贈寄附を前提としていないか

利用者の死亡時に財産を贈与(遺贈)する契約を、契約者と事業者の間で結ぶこともあります。自由意志に基づくものであれば問題ありません。しかし、財産の寄附や遺贈を契約の条件としている事業者は、利用者自身のトラブル回避のためにも避けるべきでしょう。

なお、当事者間の意思があっても、相続人と事業者の間でトラブルになることもあります。遺贈について、公正証書遺言で行われるかどうかも確認しておきたいポイントです。

身元保証サービスを依頼するならあかり保証

身元保証サービスを依頼するなら、株式会社あかり保証」をご検討ください。

あかり保証は、弁護士・司法書士を運営母体とする、数少ない高齢者等終身サポート事業者です。高齢者等終身サポート事業者とは、身元保証や死後事務などを、家族や親族に代わって支援する民間サービス事業者です。

弊社では、政府が公表している「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を遵守した上で、利用者様にとって安心できる身元保証サービスを提供しております。

サービスの契約時は士業が対応しており、利用者様が契約内容に納得できるよう重要事項をもれなく説明するほか、最終的には公証役場にて契約書を公正証書化します。

契約書締結時は外部の弁護士や司法書士に委託する必要がないことから、契約手数料がかからず、手頃な料金体系でサービスを受けることが可能です。

利用者様の預託金は、個別で信託口座を開設して管理しているため、万が一のときでも安全に保管されます。また、あかり保証では遺贈寄附を一切受け取っておりません。

利用者様のニーズに応えられるよう、身元保証サービスを紹介できる体制を作りたいとお考えの介護施設の事業者・ケアマネジャーの方は、ぜひあかり保証へお気軽にお問い合わせください。

>>あかり保証へのお問い合わせはこちら

まとめ

身元保証サービスは、提供されるサービスによって料金の目安が異なります。サービスごとの相場を把握しておくことが大切です。

また、身元保証サービスについて、契約に関するトラブルも消費生活センターに複数相談が寄せられています。安心できるサービスを施設の入居希望者に紹介するためにも、事業者が提供するサービスやトラブルになりやすい部分についてしっかり確認しておくようにしましょう。


この記事の監修者

斉藤 正行

1978年に奈良県生駒市で生まれる。
2000年3月に立命館大学卒業後、コンサルティング会社に入社し飲食業のコンサルティング、事業再生等を手がける。
その後、介護業界に転身し、老人ホーム会社の取締役運営事業本部長、デイサービス会社の取締役副社長を経て、2013年8月に 株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。
2018年6月に法人種別・サービス種別の垣根を超えた介護事業者の横断的組織である一般社団法人全国介護事業者連盟の 設立に参画、2020年6月に理事長に就任。
そのほか介護団体・法人の要職等を兼任し、介護業界の発展に心血を注いでいる。


この記事の監修者

清水 勇希

弁護士/株式会社あかり保証 代表取締役
1995年京都府宇治市生まれ。立命館大学法学部を首席で卒業後、司法試験に合格。北浜法律事務所を経て、2022年10月にリット法律事務所を開設。弁護士として、介護法務、医療法務、不動産法務等に注力。2024年7月、「身元保証業界を変えたい」「身寄りのない高齢者の方に、信頼かつ安心のあるサービスを提供し、一番頼りになる存在となりたい」と思い、株式会社あかり保証を創業。代表取締役に就任。
若くして数々の資格を取得し、弁護士として活躍する傍ら、株式会社エアトリの社外監査役、医誠会国際総合病院の倫理審査委員会外部委員など、多岐にわたる分野でその手腕を発揮している。