老人ホーム紹介センターの役割
老人ホーム紹介センターは、入居希望者と施設の橋渡しを行う存在です。入居を検討する高齢者やその家族からの相談に応じ、条件に合う施設を提案する形で支援を行います。施設運営者にとっても、適切な入居者とマッチングする上で重要な手段となります。
老人ホーム紹介センターには、施設が求める入居者像を的確に把握し、条件に合った入居者とのマッチングを実現することが期待されます。
近年、老人ホーム紹介センターの在り方が問われている
一部の有料老人ホームと紹介センター間における高額な紹介手数料が、近年問題視されています。中には、難病や末期がん患者の入居を紹介する際、1人当たり最高150万円もの手数料が支払われる事例が報告されています。
厚生労働省においては、老人ホームの運営者に対し、高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)が導入した「紹介事業者届出公表制度」に公表されている事業者を利用するよう推奨しています。
この制度は、老人ホーム紹介事業者が高住連の定める行動指針と遵守項目に従い、届出を行った上で、一定の基準を満たした事業者の情報が公表される仕組みです。
高住連は、高齢者向け住まいの共通課題に取り組むことを目的とした業界団体です。2025年1月時点で、日本全国で554の事業者が届出を行っています。
参考:高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)「高齢者向け住まい紹介事業者届出公表制度」
また、厚生労働省は高住連に対し、老人ホームが紹介センターと委託契約等を締結する際の留意事項を定めるよう通達しています。
そのため、今後老人ホーム紹介センターの利用を検討している施設運営者は、適正な紹介手数料が設定されているかを把握することが求められています。
老人ホーム紹介センターとの上手く付き合うためには
利用者の満足度向上や施設運営の円滑化のために、老人ホーム紹介センターとの上手な付き合い方を知っておくことが大切です。ここでは、老人ホーム紹介センターを上手く付き合うためのポイントを3つ紹介します。
求めている入居者像を明確に伝える
有料老人ホームは、運営形態や設備、職員の体制によって受け入れられる入居者が異なります。例えば、認知症を専門とした施設や、自立した生活を送る高齢者向けの施設など、多様な特徴があります。
施設が提供できるサービスや対応可能なケアを具体的に整理し、紹介センターに共有することが重要です。また、自施設で受け入れが難しい利用者像も紹介センターに共有することで、ミスマッチを防げます。
施設のメリット・デメリットを伝える
老人ホーム紹介センターには、自社施設のメリットだけを強調して伝えるのではなく、デメリットも正直に伝えることが重要です。例えば、「レクリエーションの回数が少ない」「入浴設備が古い」といったデメリットを隠さず説明することで、利用者やその家族が事前に納得した状態で入居を決められます。
デメリットが後から明らかになると、入居者が離れる原因になり、施設の信頼や評判が損なわれるだけでなく、紹介センター側も次の利用希望者への案内を躊躇することにつながります。ただし、デメリットを伝える際は、ネガティブな印象が強くならないよう慎重に言葉を選ぶことが大切です。
情報共有を積極的に行う
見学に関する問い合わせや見学内容に関して、老人ホーム側が積極的に情報共有することが大切です。施設側から紹介センターに事前に詳しく情報提供しておくことで、センターが利用者にスムーズに案内できるようになります。
もし施設の状況や見学のスケジュールに関する情報が不足していると、センター側が利用者に対して的確な案内ができず、結果として見学の際に手間が発生したり、スムーズな対応ができなかったりします。
また、見学時に施設側での電話対応が悪かったり、必要な情報が不足していたりすると、利用者はその施設に対して良い印象をもたなくなり、他の施設を選ぶことになるでしょう。
まとめ
老人ホーム紹介センターは、入居希望者と施設をマッチングする役割を担っています。しかし、一部の有料老人ホームと紹介センター間で、高額な紹介手数料が支払われている事例が報告されていることを受け、紹介センターが守るべき行動指針や遵守項目が見直されています。
そのため、施設運営者が老人ホーム紹介センターを利用する際は、適正な紹介手数料が設定されているか、確認することが重要です。
また、円滑に入居者を確保するためにも、求めている入居者像や施設のメリット・デメリットを明確に伝え、情報共有を積極的に行うことを意識しましょう。