介護スタッフの研修内容は多くある!その種類とは
ひとえに研修と言っても、種類はさまざまあります。自社の状況と課題に合った研修を行うことで、介護職員全体の成長にもつながります。
まずは、研修内容の例についてご紹介します。
新人教育研修
新卒の職員や未経験者を対象とした研修です。事故を防ぎ、基本的な業務ができるようになることが目的で、定期的に実施します。資料を作成しておけば、年度や数字など細かいところを変更するだけで繰り返し使うことができるでしょう。
新人教育研修には、次のような項目が組み込まれていることが多いです。
・経営理念、介護理念
・就業規則、給与規定
・事業所や施設の構造、人員配置、利用者や入居者のオリエンテーション
・高齢者特有の疾患、感染症、認知症ケア、身体拘束について
・身体介助実践(排せつ・入浴・食事)、介護実技
・介護保険制度、重要事項説明書
・マナー、接遇 など
このうち、現場の業務において重要な研修を3つ取り上げて紹介します。
事故防止にまつわる研修
事故を未然に防止するため、危機管理の意識を養うための研修を実施することが重要です。
介護サービスを利用されるのは、身体的な不自由がある方や、自らの行動のコントロールが難しくなった高齢者の方です。防ぐことが難しい事故もありますが、教育や準備次第で未然に防げる事故もあります。
転倒などの事故以外にも、利用者や入居者、その家族へ、身体的・精神的な損害を与えることも事故として扱われることがあります。このような事故が増えることで、事業所や施設の信頼が失墜します。責任を問われ、事業の存続が難しくなる可能性もあるでしょう。
それだけではなく、関わった職員が自分を責めて、メンタルヘルスの問題に発展してしまうこともあります。事故を防止することは、働く職員を守ることにもつながります。
虐待防止にまつわる研修
ニュースで話題になると、虐待について「どこからが虐待か」ということを教える研修内容になることもあるでしょう。
虐待のきっかけは不適切なケアから始まり、非意図的虐待、意図的虐待、顕在化した虐待と時間の経過とともに悪化していきます。
また、身体拘束も虐待に含まれます。利用者や入居者の安全を思ってしていることが、虐待とみなされる場合も往々にしてあるのです。
虐待は、職員個人のモラルの問題ではなく、職場環境の悪化、職員への教育・指導の欠如、そして介護事業所・施設の隠蔽体質など、あらゆる原因によって起きます。定期的に虐待防止にまつわる研修を行うことで、職員同士の認識をすり合わせ、事業所・施設全体で虐待が起きにくい環境を作ることができます。
看取りやターミナルケアについての研修
ターミナルケアとは、人生の終末期を迎えた方へ向けて、残された時間を自分らしく過ごせるようケアすることを指します。利用者・入居者が安らかに旅立ち、家族が悔いを残さないように終末期を過ごすには、医療連携や正しい知識と技術が必要です。
人の死に向き合うことはとても重く、新人の中には耐えられず辞めてしまう人もいます。
ターミナルケアの方法を研修するとともに、職員同士で看取りについて語り合う場を設けるなど、職員が利用者・入居者の死に向き合うサポートをすることも重要です。
リーダー研修
リーダー研修は、個人の技能を伸ばすだけではなく、組織マネジメントの能力を向上させるために行います。日勤や夜勤のリーダーとなる人向けに実施されることが多いです。
・組織をマネジメントする上でのリーダー自身の課題
・チームとしての課題
・振り返りをどのように行ったらいいのか
・振り返りを日々の業務に生かすにはどうしたらいいか
など、事業所・施設をチームで運営していくために必要なスキルを養う研修をしていきます。
職員が聞きたくなる面白い研修やセミナー内容とは
内容や視点を変えても、受け身で聞いているだけの研修では職員は飽きてしまいます。せっかくお互いに時間を割いて行う研修ですから、できれば楽しく聞いてもらいたいものです。
どのような研修やセミナーを開催したら、職員が聞きたくなるのでしょうか。ここからは、研修の成功事例を紹介していきます。
専門家を招いた研修
例えば介護に関する本を執筆している人を招くなど、著名人と会えるような研修内容にすると、職員の意欲が高まります。
最近では、芸人やタレントが、介護業界について発信しています。YouTubeで楽しいレクリエーションや体操の動画を配信している方もいるため、動画を利用してレクリエーション研修を行ってみても良いでしょう。
職員自身にも関係のある話を混ぜた研修
職員自身に関係がある内容だと、研修の参加率や満足度が高くなる傾向にあります。
・具体的に職員が遭遇しそうな場面を絞って、どのように対処したらいいかを研修する
・実際に起きた事例を持ち寄ってディスカッションする
このような内容だと、自分ごととして捉えやすくなります。
あるいは、事故防止の研修の一環として、「ヒヤリハット」を共有し合うのも職員に研修の内容を身近なものと感じさせることができます。
「ヒヤリハット」とは、事故に至らなかったものの、事故に直結してもおかしくない「ミス」や「冷やり」「ハッ」としたことです。ひとつの大きな事故の前には、300件の「ヒヤリハット」と29件の軽傷事故があるといいます。
「ヒヤリハット」を共有することで、他の人が同じ間違いをすることを防ぎ、重大な事故を防止できます。
ワークショップや発言権がもらえる研修
自由に話せるゲームや発言権がもらえるような研修は、とても盛り上がります。
例えば不穏な行動をとる利用者・入居者に対して、自分ならどうやって対応するか紙に書いて、箱に集めてみましょう。そしてくじ引きで匿名を守り、読み上げることでディスカッションのお題ができます。同時に、さまざまな職員の対応方法を学ぶことも可能です。
資格取得セミナーなどを開く
介護に関する資格を取得すると、資格手当によって給与がアップします。そのため介護福祉士の勉強セミナーなどを開くと人が集まりやすいです。
例えば、下記を参考にしてみてください。
・介護福祉士の資格を実際に取得した人を講師役として、勉強方法や使ったテキストなどを共有してもらう
・今勉強している人たち同士で教材を紹介しあう
・お互いに問題を出し合う
このように研修内容は、職員が楽しめるアクティブな内容にするように心がけましょう。研修担当者の準備の負担も減り、アウトプットする機会を作ることで勉強の内容が身につきやすくもなります。
介護事業所・施設で起こりうるストレスをユーモラスな内容を交えて研修
介護事業所・施設で働いているからこその悩みやストレスを、気軽に話す場所があると職員の心も軽くなります。介護事業所・施設あるあるや悩みを共有して、職員同士でどのように対応していくのかを、心理学に絡めて考えていく研修もあります。
まとめ
介護事業所・施設で研修を開くとなると、準備が大変だったり、内容がマンネリ化してしまったりと困ることもあるでしょう。しかし、研修は介護サービスを健全に行うために必要です。
研修の目的は、職員のやる気や能力を引き出し、利用者・入居者により良いサービスを提供することです。職員がより良い環境で働けるようにするための工夫として、今回紹介した研修内容が参考になれば幸いです。