介護事業所・施設におけるシフトの組み方は?シフト例や作成のコツを紹介

介護事業所や施設では、職員の出勤日や勤務時間などは一律ではなく、シフト制になっているのが一般的です。介護施設の経営者や管理職の方などは、毎月職員のシフトを作成する必要があります。 ただし、介護事業を始めた方にとっては、シフト作成に慣れておらず、組み方が分からない場合もあるでしょう。公平でなおかつ業務をスムーズに進められるようなシフトにしたいところです。 本記事では介護事業所・施設でのシフトの組み方について解説していきます。


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介護事業所・施設における基本的なシフトの組み方

最初に介護事業所や施設におけるシフト作成の基本的な事項を見ていきましょう。

介護職のシフトパターン

介護施設の中でも、入居設備の有無によってシフトパターンが異なります。入居設備がある施設の場合には、職員が24時間いる必要があるため、日勤と夜勤に分かれているのが特徴です。主に2交代制と3交代制のシフトパターンがあります。

2交代制は日勤と夜勤のふたつに分かれているシフトパターンです。日勤は朝出勤して夕方に帰宅します。夜勤は夕方に出勤し、翌日のお昼前あたりまで、1回で16時間働くパターンです。休憩は2回に分けて2時間入れます。

3交代制は、日勤・遅番・夜勤に分かれるシフトパターンです。日勤は早朝から午後にかけて働き、遅番はお昼すぎから夜にかけて働きます。夜勤は夜から早朝にかけて働くため、どの時間帯も7~8時間勤務です。

入居設備がない介護施設の場合には、日勤のみで夜勤はありません。基本的に朝に出勤して夕方に帰宅しますが、希望に応じて勤務時間を1~2時間程度ずらすことが多いです。
また、具体的なシフトの組み方や勤務時間は施設によって異なります。

近年、介護業界では週休3日制で働くスタイルがトレンドとなっています。週休3日制にすることにより、柔軟な働き方や残業時間の短縮を実現させることが可能です。一方で、1日の労働時間が長くなる(1日10時間)や収入が減るデメリットもあるため、導入時には慎重に検討する必要があります。

介護職のシフト作成ルール

シフト作成をするときには、夜勤明けの翌日は公休にするなどのルールがあります。連続出勤の日数なども基準を決めておかなければなりません。公休を何日に1回入れるなどのルールも必要です。

また、連続する出勤日に関しては出勤時間を少しずつ遅くするなどのルールを設けている介護施設もあります。たとえば、1日目が早番で2日目が遅番、3日目が夜勤のような具合です。

介護事業所・施設でシフト作成をするときに大切なポイント

介護事業所や施設でシフト作成をするときには、次のようなポイントを押さえておきましょう。

法律や行政の配置基準を遵守する

法律や行政で介護事業所や施設の人員配置基準が定められています。シフトを組むときには、特定の時間帯で人員が足りなくならないように注意が必要です。

また、労働基準法も遵守しなければなりません。時間外労働や休日出勤などが多いと、違反してしまう可能性があります。

違反にならないようにするため、人員配置基準や労働基準法などをあらかじめ確認し、基準を把握しておきましょう。

必要な人員の構成を把握する

現場で必要となる人員の構成を把握しておくことが大切です。どの時間帯にどんな業務をこなさなければならないのか、何人いれば完遂できる内容なのか考慮して人員配置を決めます。

ここで重要なのは、人数だけでなく能力バランスも考慮することです。能力バランスによっては、必要な人数は揃っていてもサービスを円滑に提供できなくなることもあります。

たとえば、5人必要な場合で、その5人全員が新人や経験の浅い職員の場合には、ややきつい状況になるでしょう。逆に5人全員がベテランというのもあまり良くはありません。新人からベテランまでバランスよく織り交ぜましょう。

希望休のルールを明確にする

シフト制では、希望休という形で休みにして欲しい日の希望を職員が出せるのが一般的です。経営者は、この希望休をできるだけ反映できるように調整してシフト作成をします。

しかし、希望休が多すぎると調整が難しくなるでしょう。シフト作成に時間がかかってしまったり、ほかの職員の負担が大きい内容になってしまったりすることがあります。

そのため、1ヶ月に使える希望休の上限日数を決めておくなどの対策が必要です。上限日数が決まっていれば、シフト作成が極端に難しくなることはありません。希望休を出した職員とほかの職員との間での不公平感もなくなるでしょう。

また、希望休申請の締切日なども決めておくのが望ましいです。そうすれば、時間的余裕もできます。

不公平と感じるシフトを組まない

職員が納得できるシフトを作るのが理想ですが、現実的には難しいです。ただ、極端に不公平な内容になるのだけは避ける必要があります。そのため、希望休が叶う上限日数を定めるなどのルールを設けるのが望ましいです。

また、役職や雇用形態でシフトに差を設けるのは問題ありません。給料や待遇などが異なるため、職員同士でも納得できるでしょう。ただ、差を設けるのであれば、明確に決めた上で職員全員に周知する必要があります。

介護業界で上手くシフト作成するコツ

介護業界で上手くシフトを作成するには、次のようなコツが必要です。

確定している日からシフトを組む

シフトが揃えば、希望休は仮確定として組み、出勤希望日から人員の配置を始めます。職員の経験やスキルを考慮し、バランスよくシフトを組みましょう。人員が偏る場合はシフトが確定する前に職員と交渉しましょう。

夜勤を優先してシフトを決めていく

職員にとって夜勤はほかの時間帯よりも負担が大きいです。シフトパターンによっては、1回で16時間勤務になることもあるでしょう。また、夜勤の翌日は公休にしなければなりません。

そのような事情から、夜勤を優先してシフトを組んでいくと、後から調整し直すことも少なく、スムーズに作成できるでしょう。

夜勤に日を基準にして、前日は遅番で前々日は早番のような決め方もできるでしょう。

スタッフの希望の働き方も考慮する

介護事業所・施設にはさまざまな雇用形態で働く職員がいます。正規職員として働いている人もいれば、パートとして働いている人もいるでしょう。パートの中でも比較的労働時間が長い人もいれば、4~5時間程度の人もいます。

そのため、個々の職員の生活スタイルについて把握した上でシフト作成をするのが望ましいです。希望休はもちろんのこと、夜勤の回数や土日祝日の勤務などについて、どのように希望しているのかヒアリングしてみましょう。

職員の生活スタイルや価値観などを細かい部分まで把握することで、満足できるシフト作成につながります。

完璧なシフトを目指さない

完璧なシフトを作成したいと考えている経営者の方もいるかもしれません。しかし、実際に完璧なシフトを組むのは困難です。どこかしらで人員不足が発生したり、残業しなければならなくなったりしてしまいます。

形の上では完璧に見える場合でも、職員同士の相性などの問題が出てくることもあるでしょう。

そのため、完璧なシフトを目指すのではなく、優先順位を作っておくのがおすすめです。多少の残業や人員不足などは不可避的に起こるものと捉えた上で、優先度の高い条件だけは満たせるようにしましょう。

困ったらヘルプや職員への相談をする

どうしても必要な人員を確保できない場合には、ヘルプをお願いするのも検討してみましょう。ヘルプというのは、同じ法人が経営するほかの介護施設や介護職以外の職員に臨時で手伝ってもらうことです。

ただ、ヘルプで来る職員は普段とは違う環境で働くことになります。そのあたりも考慮した上で、ベテランの職員と一緒に配置する必要があります。

まとめ

介護施設のシフトを組む際には、最初にシフトパターンとルールを決めましょう。その上で、なるべく公平になるように組むことが大切です。

毎月のシフトを組む流れとしては、まず曜日などで固定されている部分と希望休の部分を先に決めます。それから公休を決めて、調整しやすい部分は最後の方で決めるとスムーズです。

そして、完璧なシフトはなかなか作れないため、優先順位を決めた上で作るようにしましょう。