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介護業界でSNSを活用した採用が増加している
介護業界は人手不足が深刻になっており、常に求人を出している事業所も少なくないでしょう。
厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和3年6月分)について 参考統計表」によると、介護サービスに関する職業の有効求人倍率(正社員)は2.98倍であることが分かります。全職業の有効求人倍率(正社員)が1.13倍で、平均より約3倍も高い状態です。
そのため、競合と同じような採用活動を行っても、成果が得られにくく人手不足が解消できません。そこで注目され始めたのが、SNSを活用した採用方法です。
求職者に対して直接アプローチできたり、認知度を高められたりと、これまでの応募を待つだけのスタイルとは違い、積極的な採用活動が実施できます。また、ほかの介護事業所との差別化としても効果的です。
出典:「一般職業紹介状況(令和3年6月分)について 参考統計表」(厚生労働省)
介護業界がSNSを活用するメリット
介護業界で注目されているSNSの活用には、具体的にどのようなメリットがあるのか解説します。
広い年代にアプローチできる
SNSの利用者は、すべての年齢層で年々増加傾向にあります。SNSには拡散力もあるため、活用するとさまざまな人に情報を発信でき、直接アプローチすることも可能です。
SNSを活用した採用活動は「ソーシャルリクルーティング」と呼ばれ、介護だけではなく幅広い業界で注目されています。
特に雇用が売り手市場になっている状況では、企業側の積極的なアプローチが重要です。介護業界の有効求人倍率はほかの職種よりも高いため、広い年代に直接アプローチできるSNSは最適なツールといえます。高い効果が期待できるにも関わらず、無料で利用できる点も大きなメリットです。
認知度を拡大できる
定期的な情報発信によって自社の認知度を拡大できます。最近は求職者が会社の情報を調べる方法のひとつとして、SNSが利用されることも増えました。
SNSを運用すると、求職者の目に止まりやすくなり、フォローされたり情報を拡散してもらえたりする可能性が高まります。特にポジティブな内容が効果的で、従業員の笑顔や利用者の声など、好印象を与える投稿を心がけましょう。
文字だけではなく、写真や動画を掲載することでも注目されやすくなります。運用を続けて自社の認知度が少しずつ高まれば、採用に結びつく機会も増えるでしょう。
従業員の定着率が高くなる
SNSで自社の雰囲気を発信していると、求職者が入社後のイメージをしやすくなり、ミスマッチの予防につながります。入社後に早期離職する原因のひとつが、「思っていた職場じゃなかった」というミスマッチによるものです。
写真や動画、文章で職場の雰囲気が伝わるような投稿をすると、求職者がSNSを確認して自身が働きたい環境か判断しやすくなります。
介護業界がSNSを活用するデメリット
介護業界がSNSを活用する際は、注意が必要な点やデメリットも把握しておきましょう。
運用に手間がかかる
SNS運用で効果を高めるためには、継続的な発信が大切です。投稿がほとんどなかったり情報が少なかったりするアカウントは、マイナスな印象を与えるおそれもあります。
とはいえ、利用者・入居者の介護業務以外にも事務作業などの仕事があり、定期的に投稿するのが難しいと考える介護事業所・施設も多いでしょう。
継続的に発信し続けるには、「週に1回投稿をする」「SNSを運用する担当者を複数決める」などして、介護職員への負担が大きくならないよう、しっかりと運用体制を整えることが大切です。
炎上するリスクがある
SNSの拡散力は高く、炎上につながるリスクもあり、注意が必要です。SNSを運用していると、意図が伝わらずに誤解を招いたり、事業所・施設が批判の対象となったりする場合があります。
表現や言葉遣い、投稿内容には常に細心の注意を払いましょう。また、個人情報の取り扱いにも十分な配慮が必要です。
介護業界で活用すべきSNS
この項目では、介護業界で活用すべきSNSの種類やそれぞれの特徴について紹介します。
Twitter(ツイッター)
Twitterは140文字以内でメッセージを投稿できるSNSです。写真や動画を載せることもでき、SNSの中でも拡散力が強いため、認知度を拡大しやすいのが魅力です。
利用者は若年層が多く、新卒や第二新卒の採用活動を考えている場合には最適なSNSといえます。また、少ない文字数で投稿しやすいため、SNS運用の中でも比較的手軽に始めやすいでしょう。
Facebook(フェイスブック)
Facebookは、実名登録制のSNSです。ほかのSNSと比べるとユーザーの年齢層が高めなので、介護業界との相性が非常に良く、中途採用にも活用しやすい特徴があります。また、広告運用する際に年齢や職業、学歴、住所などの情報も設定できるため、採用したい人の属性を絞って活動したい事業所・施設にも最適です。30代以上のユーザーが比較的多く、即戦力となる人材を確保したい場合にも活用しやすいでしょう。
Instagram(インスタグラム)
Instagramは、画像や写真をメインに投稿できるSNSです。比較的若年層に人気が高く、SNSの中でも女性の利用率が高いです。写真や動画を中心とした投稿スタイルで、事業所・施設内の雰囲気を伝えやすい特徴があります。
ハッシュタグ機能を活用して情報収集するユーザーも増えており、検索エンジンの代わりに利用する人も多いです。
採用だけではなく、事業所・施設内の取り組みを映像で伝えやすいため、介護事業所・施設の利用を検討している層へ自身の介護への想いを広めることにも活用しやすいでしょう。テキストも長文の投稿が可能で、動画の編集もSNS内で行えるため、工夫によってさまざまな情報発信ができます。
Youtube(ユーチューブ)
YouTubeは動画の投稿や閲覧ができるサービスで、特に若年層に人気のあるツールとして注目されています。
ほかのSNSのような日常的な投稿よりも、職員のインタビューや経営者からのメッセージなど、特定のコンテンツを分かりやすく映像化したい場合に最適です。
動画の質を高めるには、撮影や編集の技術がある程度必要になるため、ほかのSNSよりもハードルが高いかもしれません。その分、試聴者の印象に残りやすく、より伝わりやすい情報発信ができるでしょう。
介護職の採用におけるSNSの活用方法
最後に、介護職の採用にSNSを活用する方法について解説します。
事業所・施設の認知度を高めるツールとして活用する
採用にSNSを活用する場合、まずは認知度を高めることが重要です。そのためには、求職者の目線になって、求められる情報を分かりやすく発信する必要があります。
特に事業所・施設の雰囲気は多くの人が気になるポイントなので、文章だけではなく写真や動画を使って投稿しましょう。
認知度を高めておくと、まだ転職を考えていない層にも知ってもらえる機会が増えます。
採用専用のアカウントを作る
日常的な投稿を行うアカウントで採用に関する発信をすると、求職者が情報を見つけられない可能性があります。募集要項や職員へのインタビューなど、求職者にとって役立つ情報を発信する際は、採用専用のアカウントを作る方が効果的です。
もしオウンドメディアがある場合は、SNSに掲載してそちらにアクセスを促す方法もあります。
まとめ
介護業界ではSNSを活用した採用活動が注目されており、運用に成功すると人材不足を解決できるかもしれません。ほかにも認知度を拡大して介護への想いを発信することもできるので、SNSを運用するメリットは大きいです。
ただし、時間と手間がかかり炎上のリスクもあるため、状況に応じて取り組む必要があります。