介護事業所・施設の経費削減案アイディア5選!立案の流れを解説

介護事業所・施設の利益を伸ばすためには無駄な経費を削減することが大切です。とはいえ、どのように経費を削減したら良いのか、良いアイディアが浮かばない方も多いのではないでしょうか。 この記事では、介護事業所・施設の経費削減におすすめのアイディアを5つ厳選して紹介します。立案の流れについても解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。


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介護事業所・施設でかかる経費

経費を削減するためには、まず事業所・施設の運営にかかる経費についてきちんと把握しておきましょう。主な経費は、以下があげられます。

経費 経費の詳細
賃料 建物や土地を借りている際にかかる費用
人件費 介護職員や事務員などに対して支払う給料、福利厚生、教育コストなど
消耗品費 トイレットペーパーやオムツ、入浴介助用の洗剤などの消耗品にかかる費用
水道光熱費 介護事業所・施設の運営における電気代や水道代、ガス代など
広告費 職員や利用者・入居者を集めるために広告を掲載する費用。チラシの印刷代やサーバーレンタル料なども含む
通信費 インターネット通信費、固定電話代など
損害保険/賠償保険料 利用者・入居者の事故に対する保険料

介護事業所・施設の運営には上記のようにランニングコストがかかります。水道光熱費や人件費のように毎月固定で支払う費用もありますし、広告費のように必要に応じて発生する費用もあります。

利益を確保するためには、まず固定費から削減することが大切です。

経費削減案を立てるための基本的な流れ

経費削減案はどのように立てたら良いのでしょうか。ここでは経費削減案を立てるまでの基本的な流れを紹介します。

削減対象を把握する

まずは削減できそうな経費を絞り込むことが大切です。大きな改善が見込める項目や手をつけやすい項目など、優先順位をつけてみましょう。

たとえば「水道光熱費」は節電・節水を心がければ費用を削減することは可能ですが、大きな削減効果は見込みにくい傾向にあります。また、電気を節約するためといって、むやみに節電をして利用者・入居者に危険が及ぶようなことがあれば本末転倒です。

人件費も同様です。人員を削れば人件費を削減できますが、利用者・入居者のケアが不十分になり、満足度が下がってしまうおそれがあります。利用者・入居者の満足度や危険性も考慮して削減対象を絞ることが大切です。

対象コストの分析・測定をする

削減するコストを絞ったら、対象コストが「何に」「いくらかかっているのか」を細かく分析・測定しましょう。

たとえば対象コストが広告費の場合、「広告会社に支払う費用が毎月30万円」「チラシ印刷代2万円」「レンタルサーバー料が毎月1万円」など、費用の中身を細かく分解します。

そして「広告会社を変えれば10万円は削減できる」「チラシを止めてインターネットやSNSをメインにすれば印刷代を抑えられる」といったように、何から取り組むべきかが見えてくるでしょう。どのくらいの費用を削減できそうか、経費削減で得られる効果も試算できます。

削減目標を設定する

経費削減を成功させるためには明確な目標設定が大事です。目標が曖昧なまま経費削減に努めても、どのくらい経費削減ができたのか不明瞭になります。

削減目標を具体的に定め、介護ケアにおける理念や目標達成に必要な要素であることを前提に置きながら職員全体に周知することで、高い意識をもって経費削減に取り組めます。たとえば、「3ヶ月以内に消耗品費用を5%削減する」といったように、達成時期も明確にしておくのがおすすめです。

削減目標を定めたら、具体的にどのように取り組むのかも決めましょう。目標だけ決めても、「何をしたらいいのか分からない」と職員が困ってしまいます。職員全体が一丸となって取り組めるように現実的な施策を考えましょう。

経費削減案を実行する

経費削減案を立案し、職員全体に周知したら実行します。経費削減案を立案して終わりではなく、定期的に進捗状況を確認しましょう。

効果が得られなかった場合は、何が原因だったのかを探ります。「職員の行動が足りなかったのか」「そもそも経費削減案が現実的ではなかったのか」など、あらゆる原因を洗い出してみましょう。

必要であれば、経費削減案を見直し、修正することも大切です。経費削減を実行しやすい対象コストを調べ、目標のハードルも少し落としてみましょう。

日々PDCAサイクルを回し、徐々に経費を削減していくことが大事です。

介護事業所・施設の経費削減案!5つのアイディアを紹介

具体的にどのように介護事業所・施設の経費を削減したら良いのか、わからない方も多いのではないでしょうか。ここでは、経費削減のためのアイディアを5つ紹介します。取り入れられそうなものがあれば、ぜひ試してみてください。

家賃を減額する

介護事業所・施設の建物をオーナーから借りている場合、家賃の減額交渉を行のもひとつの手です。「家賃の減額交渉をすればオーナーとの関係性が悪化し、借り続けることが難しくなるのではないか」と、家賃の減額交渉をしていない事業所・施設は多く存在します。

しかし、賃料の減額交渉は法的にも認められているため、経費削減したい場合は選択肢として加えましょう。とはいえ、以下のケースでは交渉が難しいとされています。

・契約書に賃料改定不可と記載されている
・入居から1〜2年と月日が経っていない
・すぐに借り手が見つかる人気物件
・現在の賃料が相場よりも安い

自身で家賃の減額交渉が難しい場合は、交渉を専門とする業者に依頼することも検討しましょう。

通信費の削減を行う

毎月かかる固定費として、「通信費」も削減しやすいコストのひとつです。介護事業所・施設が支払う通信費は主に以下の5つです。

・インターネット通信費
・固定電話代
・携帯電話代
・FAX代
・フリーダイヤル代

インターネット回線やプロバイダを見直し、業者やプランを変えることで経費を削減できる可能性があります。何年も利用していない電話回線、ネット回線は解約しましょう。

水道光熱費を節約する

水道光熱費も工夫次第で大きく経費を削減できます。水道代を節約したい場合、シャワーや蛇口につける節水機器を活用するのがおすすめです。

介護事業所・施設では入浴介助や洗い物など、水を使用する機会が多くあります。節水機器を設置するだけでも、放水量を抑えることが可能です。

電気代も「電力の小売全面自由化」によって、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。電力会社や契約プランを見直すことで経費を削減できます。

また、照明をLEDに変えるのもおすすめです。LEDにすれば蛍光灯よりも明るく、消費電力も削減できます。

介護事業所・施設の電気代を抑える方法について知りたい方は、以下の記事チェックしてみてください。
介護事業所・施設の電気代を節約するには?効果的な方法を紹介

人件費を削る

業務効率を上げて人件費を削減する方法があります。具体的には無駄な会議の廃止、残業時間の削減、IT化などです。特に残業時間を削減できれば、職員の負担を減らして離職率の低下にもつながります。

離職率が減れば、新たに職員を確保する際の採用コストや教育コストもかからなくなるため、大きな経費削減効果が期待できます。

注意点として、人件費を削るために必要以上に人員を割くのはNGです。必要な人員を削減してしまうと、サービスの質が落ちてしまうおそれがあります。

すぐに人件費を削減するのではなく、業務効率を上げて人件費を削減することに注力しましょう。

広告費はSNSなどを利用して削減する

広告費も工夫次第で削減できます。広告会社にもさまざまな料金プランがありますが、まずは「安い広告会社を利用する」「広告プランを見直す」といったことを検討してみましょう。

募集活動を自社で行う方法もあります。FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを運用すれば広告掲載費はかかりません。

SNSは拡散性が高いため、多くの人に見てもらえるのが魅力です。しかし、SNSの運用にもコツやノウハウがあるため、それらを習得して軌道に乗せるのは時間がかかる可能性があります。

注意したいのは、広告費は削りすぎないことです。削減のために「広告をまったく出さない」といった大胆な行動を取れば、利用者・入居者やスタッフが集まらなくなり、事業存続が難しくなるおそれもあります。

まとめ

介護事業所・施設の経費を削減するためには、まず運営にかかる経費を把握し、削減対象を絞ることが大切です。そして現実的な削減目標を定め、実施したら定期的に効果測定しましょう。思うような効果が出ない場合は、経費削減案を見直し、別のアイディアを練ってみてください。