介護事業所・施設の電気代を節約するには?効果的な方法を紹介

昨今の電気料金高騰により、介護事業所・施設の電気代の負担も大きくなっています。今後も値上がりが見込まれることから、電気代を抑える方法はないだろうかとお考えの介護事業者の方も多いでしょう。今回は、介護事業所・施設の電気代節約に効果的な方法や節約のポイントを紹介します。


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介護事業所・施設の電気代を抑えるポイントその1.照明

照明一つひとつの電力消費量は大きくありませんが、数が多く、長時間使用するため電気代がかさみがちです。まずは、照明の電気代を抑える方法を紹介します。

照明をLEDに変更する

電気代を抑えるためには、事業所・施設内の照明をできるだけLEDに変更しましょう。

LED照明の消費電力量は、白熱電球の6分の1以下、蛍光灯の2分の1前後です。照明をLED照明に交換することで月々の電気代を安くできます。

また、LED照明は寿命が長いことも特徴です。白熱電球の寿命は1,000~2,000時間程度、蛍光灯の場合は6,000~1万2,000時間程度といわれていますが、LEDははるかに長い4万時間程度に及びます。

LED照明はかつて高価でしたが、低価格化が進んでおり電気代を加味すれば長期的にはコストも有利です。寿命が長いため、取り換えの手間がかかりにくいことも大きなメリットです。

使わないときは照明をオフにする

照明を使用していないときは、こまめにオフにすることも有効です。離席の際は消灯を習慣づけましょう。職員によってはすでに実施していることも多いですが、全体にルールとして周知することが大切です。

また、明るい場所は、照明の数を減らすことでも電気代を削減できます。照度を確認しながら、利用に問題のない範囲で実施しましょう。

利用頻度の少ない場所や短時間しか利用しない場所には、人感センサー機能が付いたライトを導入すれば、消し忘れや人がいないときに無駄な電気を消費せずに済みます。

人感センサーは、人がいないときにオフになるタイプと、照度を下げる調光タイプがあるので、用途に応じて使い分けましょう。

介護事業所・施設の電気代を抑えるポイントその2.空調

エアコンは多くの電力を消費するため、使い方を見直せば電気代を大きく削減できます。設定やメンテナンスを適切に行いましょう。

エアコンの温度を適切に設定する

一般的に冷暖房を使用する夏と冬は電気代が高くなりますが、温度設定によってその度合いは変わります。必要以上に空調を強くすると、電気代がかさむため注意が必要です。

エアコンの設置温度を1℃変えれば、消費電力量は冷房時で約13%、暖房時約10%の削減になるといわれており、節電効果が高いため見直してみましょう。

エアコンの推奨設定温度は、夏28℃、冬20℃です。ただし、利用者・入居者に負担をかけないよう配慮しながら温度調整を行いましょう。設定温度のみならず、実際の室温も計測して快適な室温に保たれているか確認してください。

扇風機・サーキュレーターを活用する

電気代を抑えるには、冷暖房の効率を上げるため、扇風機やサーキュレーターを活用するのもおすすめです。

エアコンの風は室内全体に行きわたるわけではなく、冷たい空気は下に、暖かい空気は上に溜まる性質があります。そのため、室内の場所によっては空調が効いていないように感じ、設定を強めてしまうこともあるでしょう。

扇風機やサーキュレーターは、空気を循環させる働きがあり、室内の温度差を抑えられます。必要以上の冷し過ぎや暖め過ぎも防げ、室内の快適性も上がるので上手に活用しましょう。居室であれば扇風機を、リビングスペースのような広い場所ではサーキュレーターがおすすめです。

エアコンのメンテナンスを行う

エアコンは、フィルターにほこりがたまると空気の循環が悪くなり、冷暖房効率が低下します。その結果、室温のコントロールにより強いパワーが必要になるので消費電力が増え、電気代も高くなります。

室内側のフィルターは1ヶ月を目安に、定期的に清掃しましょう。清掃は水洗いが必要ですが、頻繁な清掃が難しい場合には、掃除機でほこりを取るだけでも冷暖房効率が良くなります。

また、室外機のメンテナンスも重要です。室外機にある熱交換を行うフィンコイル部分が汚れていると、熱伝達率が落ちて空調性能が低下し、消費電力も大きくなります。2~3年に1回は業者へメンテナンスを依頼しましょう。

介護事業所・施設の電気代を抑えるポイントその3.設備

事業所・施設内の電気代を抑えるには、電力を使用する設備やその使い方を見直すことも有効です。

冷蔵庫を見直す

冷蔵庫も常に使用する電気設備のため、無駄な電力を消費していないか確認しましょう。

冷蔵庫は、温度を適切に設定することで節電できます。必要以上に冷やしすぎるとそれだけ電力の消費が増えます。温度表示を確認して、冷し過ぎにならないように管理しましょう。

また、古い冷蔵庫の場合、パッキンの老朽化が原因で余分な電気を消費しているおそれがあります。

パッキンが緩んでいると、冷気が漏れるため消費電力が増加します。業務用冷蔵庫の場合ドアパッキンが1cm欠損すると、冷蔵庫では約17%、冷凍庫では約27%も電力消費量が増えるといいます。

パッキンは、食品の汁などが付着していると密着が悪くなり、劣化しやすくなります。定期的に点検や清掃を行い、劣化していた場合は交換しましょう。

また、冷蔵庫の買い替えもおすすめです。古い冷蔵庫は、最新のものより多くの電力を消費します。買い替えによって大きく消費電力を抑えられる可能性もあるので、長く使用している場合は故障前でも買い替えを検討してみましょう。

エレベーターの使用頻度を見直す

事業所・施設内にエレベーターがある場合、使い方を見直してみましょう。

職員は1日何度も事業所・施設内を移動するので、すべての移動にエレベーターを使っているとコストが高くなります。また、待ち時間による時間のロスも出ます。

職員のみで移動するときは、できるだけエレベーターの利用を控え、階段を利用するようにルール化しましょう。階段利用の推進は、すでに実践している介護事業所・施設も多くあります。

まとめ

介護事業所・施設の電気代は、照明や空調、設備を見直すことで節約できます。いったん仕組みを作ってしまえば節約効果は続くので、職員や利用者・入居者の協力を得ながら、できるところから始めてみましょう。節電はコスト削減だけでなく、地球温暖化の抑制など持続可能な社会の実現にもつながります。また、コスト削減により、浮いた経費を介護ケアに必要なコストに回すことができるため、介護サービスの質を高めていくことも可能です。