介護職員同士のコミュニケーションの重要性は?活性化させる方法とは

職員同士のコミュニケーションが少なく、業務の連携がスムーズでない介護事業所・施設もあることでしょう。コミュニケーションを活性化させれば、状況を改善できるかもしれません。 しかし、具体的に何から取り組めばいいのか分からず、頭を抱えている経営者の方も多いかもしれません。本記事では介護職員同士のコミュニケーションを深める方法について解説していきます。


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介護職員同士のコミュニケーションの重要性

介護業界では人材がなかなか定着せず、慢性的な人手不足の状態に陥っている施設が多くあります。

人材が施設から離れてしまう理由はさまざまありますが、特に大きいのは社内のコミュニケーションの問題です。

コミュニケーションが良くなければ引き継ぎが円滑に進まず、業務に滞りが生じます。その結果、ストレスを感じた職員が辞めてしまい、事業者や組織全体にほころびが生じます。

逆にコミュニケーションが円滑になれば、職員のストレスが減り離職率低下につながるでしょう。

介護職員同士でコミュニケーションを活性化させるメリット

介護職員同士のコミュニケーションを活性化させると、離職率の低下以外にも次のようなメリットが得られます。

チームケアに対応しやすい

介護事業所・施設で働いているのは介護職員だけではなく、看護師や理学療法士など複数の職種の人たちが協力して働いています。さまざまな職種の職員が連携してチームでケアをして初めて、質の高い介護サービスが提供できます。

コミュニケーションが円滑になり、異業種の職員同士がうまく連携すれば、チームワークを発揮しやすくなり、介護サービスの質の向上につながります。

利用者に最適なサービスを提供できる

介護事業所・施設では、職員同士が同じ職種であっても、ユニットごとに分かれるなどして別々に仕事をするケースが散見されます。垣根を越えて職員同士で連携すると、利用者にとって最適なサービスを提供できます。お互いが「自分の役割だけ果たせばいい」という認識で仕事に取り組む場合と比べると、利用者の満足度は大きく変わります。

また、職員の得意、不得意はそれぞれ大きく異なります。職員が苦手なことに一人で取り組むと、どうしても利用者の満足度が下がるかもしれません。ですから、お互いに苦手分野をフォローし合うようなチームワークが必要です。

日常的にコミュニケーションをとれば、互いの苦手分野をカバーし合い、結果的にチームワークを活かした施設の運営につながります。

サービスのクオリティを均一に保てる

職員によってそれぞれの作業の手法が異なると、利用者の不安、不満は高まります。職員同士でうまく連携して、サービスのクオリティを同程度に保つことは大切です。

コミュニケーションの量が少なく日常的な情報交換に乏しい状態であると、気づかぬうちに職員同士のサービスのクオリティに差が生じると考えられます。コミュニケーションを密にすることでクオリティの均一化を図り、利用者にとって満足のいくサービス提供を心がけましょう。

介護職員同士のコミュニケーションを円滑にするには?

職員同士の連携がうまくいっていないのは、コミュニケーションの取り方に問題があるのかもしれません。

自分の考えを押し付けたり、他人の考え方を否定したりすると、相手は不信感を持ってしまいます。相手の意見を否定せず、まずは共感することが大事です。相手の立場を尊重することで、コミュニケーションをとりやすい雰囲気ができてきます。

言葉だけでなく、非言語のコミュニケーションも大切にしましょう。表情を豊かに、身振り手振りなどを加えると、共感していることが相手に伝わりやすくなります。

緊密に連携しつつ、適度な距離を保つこともまた大事です。あまり干渉しすぎたりなれなれしい態度をとったりすると、相手から敬遠されてしまいます。

介護職員同士のコミュニケーションでチームワークを高めるには?

介護職員同士でチームワークを高めるために、次のような手法を実践してみましょう。

チーム全体の目標を明確にする

チーム全体で目標を決めて共有します。チームで目標を設定すればメンバーに一体感をもたらし、お互いに協力して行動できるようになるでしょう。

このときに大事なのは、チームのメンバー全員で話し合って目標設定することです。メンバー全員が意思決定のプロセスに関わると、職員ひとりひとりの目的意識も高まります。逆にチームのリーダーが一方的に決めてしまうと、メンバーにとっては押し付けに感じられ、チームに不和が生じかねません。

ミーティングの習慣をつける

ミーティングを毎日開く習慣を作りましょう。時間は10分程度で問題ありません。短時間であっても話し合う機会を持てば、当日の予定や連絡事項の漏れを防ぐことができます。

程度にもよりますが、業務上の問題点はチームのメンバーで共有し合うと、簡単に解決することも多くあります。ミーティングを定期的に実施することで、問題がまだ小さなうちに、共有できるメリットもあります。

何よりも、ミーティングを通して職員同士の親睦が深まるメリットもあります。何もなければほとんど話をすることがない同僚でも、ミーティングがあることで話をするきっかけが持てます。

サンクスカードを導入する

サンクスカードは、感謝の気持ちを伝えるために書くカードです。

仕事で成果を出していても、同僚からの反応が薄いと、本当に自分が役に立っているのか不安になるかもしれません。

介護事業所・施設でサンクスカードを導入すれば、職員が頑張れば頑張るほど多くのカードが贈られます。自分の仕事や言動が適正に評価されていると実感でき、モチベーションも上がります。

介護事業所・施設では基本的にシフト制で、勤務時間帯が違う同僚とは顔を合わせる機会が少ないと考えられます。直接的に接する機会が少ない分をサンクスカードで補えば、実際に顔を合わせているとき以外にも、感謝の気持ちを伝えられるのがメリットです。結果としてコミュニケーションの促進につながるでしょう。

介護職員同士のコミュニケーションでよくある質問

介護職員のコミュニケーション改善に関して、よくある質問とその回答を紹介していきます。

介護職員同士のコミュニケーションで目標にすべきことは?

一般に介護事業所・施設は新人から中堅、ベテランまで幅広い年齢層のスタッフが働く環境で、個人としての目標はそれぞれ異なります。

新人のスタッフは業務内容を覚えるとともにコミュニケーションの基礎を学習するのが望ましいでしょう。たとえば、報連相の徹底やあいさつの習慣化などを身につけることが大事です。

ベテランの職員は、職場全体を見渡した上での環境づくりが大切な業務です。すべての職員にとって働きやすい職場を目指しましょう。

チームケアにおける介護職員としての心得とは?

介護の現場は、チームケアが基本です。介護士だけでなくほかの職種の人や専門職の人もチームに関わります。

各職員は自分がどんな立場で、どんな役割を果たすのか把握しておくことが大事です。そうすれば、問題が発生したときでも、スムーズに対応できます。

逆に自分の役割がよく分かっていないと、問題解決に時間がかかり、本来は短時間で解決するような問題が大きくなって顕在化することもあります。特にチームのリーダーは、職員の得意不得意を見極めた上で役割の割り振りをすることが大切です。

職員同士のトラブルはどう対処すべき?

介護の現場では、人間関係のトラブルが起こることもあります。その際には、事実関係がよく分からない段階で、どちらか一方の肩を持つのは避けましょう。客観的に話を聞くことが重要です。

当事者から事情を聴き、報告書の提出を求めながら、事実関係を時系列で確認しましょう。場合によっては、謝罪を促す、注意する、処分を下すなどして公正公平に対処する必要があります。

まとめ

介護業界では、職員同士のコミュニケーション不足が問題につながるケースが多く見られます。職員の離職や組織全体の衰退につながる可能性もあり、無視できない問題です。

施設では、コミュニケーションを活性化させるための対策を講じなければなりません。チーム全体での目標設定や、ミーティングが具体策として挙げられます。サンクスカードの導入も効果的です。

介護職員同士で連携を深め、成長できる組織にしていきましょう。